台湾人観光客の人流ビッグデータ取得と分析
― 今日ここに来ている台湾人観光客は、その前日はどこに居たのだろう?
― 台湾人観光客は、空港到着の翌日はどこを目指して観光に行くのだろう?
― 京都の伏見稲荷大社と金閣寺、台湾人観光客にとってはどちらの人気が高い?
上記はあくまでも一例ですが、こうした観光客の人流データを把握すれば、観光地や隣接する市町村との比較ができたり、観光客の動向を踏まえた事前のプロモーション施策ができるなど、効率的・効果的なマーケティング活動が期待できますね!
今回は2021年度にOMこうべ様でも採用いただいた、インバウンドマーケティング施策の最新手法の一つを簡単に紹介したいと思います。「Trippacker」は台湾最大級の訪日旅行計画アプリで、現在のユーザー数は50万人を超え、主に台湾人で構成されています。アプリ内でシェアできる多数の旅行コースを参考に、自分のためのオリジナルコースが作成できる優れものです。また、自身が作成した旅行コース上の観光地、施設、交通手段などの予約も同じアプリで可能。海外旅行、特に日本への旅行に便利なアプリとしてユーザーから評価されています。
また「Trippacker」は、アプリユーザーが作成し、実際に旅した旅行コースデータを200万件以上保有し、且つ同コースに紐づく位置情報データなどのビッグデータを取得しており、日、または時間単位での人流データ分析を可能にしています。更に、特定のターゲット層を対象としたアンケート調査やプロモーションも可能であるなど、旅のマーケティングツールとして今後注目のアプリです。
関西空港と神戸を起点とした人流の「データ抽出、分析の事業」提案を行い、実施しました
今回の事業では10エリア以上を選定し、各ポイントに関する人流のデータ分析を行いました。
(下記の図は一例です、ご参考ください。)
神戸空港に滞在した人流のデータをピックアップし、関西エリア範囲内における3日間の人流動線を観察、分析しました。
「神戸空港到着当日は、関西エリア内でも兵庫県内(ほぼ神戸市)に90%以上の人流が見られますが、1日後には約半数が兵庫県を
離れてしまっています。また、兵庫県内の滞在率はほぼ神戸市が占め、兵庫県内のその他エリアへの人流は非常に少ない状況です」との
観察結果を得て、兵庫県内の滞留率を高める施策の必要性を再認識できました。(下記のグラフをご参考ください。)
分析した結果に基づいて、次の一手へ
データを分析した結果は、人の思い込みや「勘」よりもかなり正確に状況を把握できる。
インバウンドマーケティング事業を実施する場合、人の主観による判断ではなく、実際のデータを根拠に次の施策を立案すべきと考えます。
たとえば、今回の事業では、神戸での滞在日数は想定よりも短く、連泊率が低いことがデータ上で確認されました。結果として、連泊率を
高める施策を優先して実行することの重要性が確認されています。
2022年度からは、このデータ分析を踏まえた施策の展開も想定しています。
ちなみに今回調査したデータでは、台湾人観光客の人流は、金閣寺の方が伏見稲荷大社よりやや多いようです。